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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 

 しばらく沈黙が続いた。密封された空間に、結城の男の匂いが充満して、あたしは浅く呼吸を繰り返す。


「……満月のお前を、あいつは知っているのか」


 さらにぎゅっと抱きしめられて、低い声で呟かれた。


「むかつく」


 昨日の朝からスマホにセットしていたアラームが鳴った。

 朝六時――。


 出社前、ホテルから一度家に戻って着替える必要があるためだ。

 あたしは布団を剥いで上体を起こした。


「あたし行くわ。家でシャワーを浴びる」


 しかし寝たままの結城が腕を掴んだ。


「……お前さ、いつも慌てて帰るけど、別によくね? 俺達、同じ会社に勤めているのにさ…」

「よくないでしょう! 木島くんと杏奈ですらあんなに騒がれているのに」

「お前とあのふたりは違うし、俺とお前は付き合っていると思っている奴も多いさ、もういい加減……」

「そうだ、秘書室の三橋さん、ちゃんとフォローしてるの? なんだかあたし凄く睨みつけられていたんだけれど」

「……」

「なにそのぶーたれた顔。もういいわ、あたし行く」

 やはり結城が腕を掴んで放さない。

「なによ」

 真顔が向けられ、言葉に詰まる。


「本気に付き合わね?」

「は?」


「恋人に、なろう」


 ゆっくりと言葉を噛みしめるように結城は言った。

 実は、この手のことを結城から言われるのは初めてではない。

 いつも冗談っぽくいうけれど、たとえ真顔で同じことを言っても、あたしの返事は変わらない。



「結城、約束を違えるなら、来月からいらない」

「………」

「あたしは誰とも恋愛する気はない。それは最初から言ってたはずよ。恋愛をしたいなら、恋愛をしてくれるところに行って」


 結城は口を引き結ぶとガシガシと頭を掻いて、あたしの手を離した。

 
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