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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 


 八年前、あたしは結城と約束した――。


 満月の夜だけ、名前を呼び合い、結城とセックスをすること。

 お互いに恋人が出来たら、その関係を解消すること。


 そしてもうひとつ。


 この関係に恋愛を持ちこまないこと。

 持ち込めば、その時点で関係は解消となる。


 満月の姿を見て、あたしの彼氏はあたしに敵意を向けた。

 たとえ結城が毎月満月の夜、あたしの姿を見ていて態度を変えないでいてくれても、きっとそれは恋愛感情がなく、友情にも似た慈愛の心があるからだ。


 恋愛は、月のように必ず形を変える――。


 満月時のように盛り上がった心も、時間と共に移ろうものなのだ。

 あの狂気ですら、こうしてなくなるのなら、恋愛感情などすぐなくなってしまうだろう。現にあたしですら、元彼への愛情は完全になくなっているのだから。


 恋愛は、時限爆弾のようなものだ。

 だから結城を失いたくなくて、あたしは最初から線を引いたんだ。


 結城と終わる関係になりたくなくて、結城に抱かれてる。

 ……結城が恋人をつくるまで。

 

  
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