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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
戦おう――。
この先なにが待ち受けていても、あたしは朱羽を守るために戦う。
今度はあたしが、朱羽を守り、そして……ずっと、愛し続ける。
そう誓ったあたしの視線の先には、朝日にきらきらと輝く茶色い瞳があった。
視線であたしは告げる。
なにがあっても絶対離れないと。
朱羽の心を守るためにベストを尽くすと。
優しげに細められた朱羽の目から、陽光に燦々と煌めく雫が零れ落ちた。幾千もの光の粒子で出来たようなそれは、あたしの手の上にぽとりと落ちる。
「今度は、勝った時に嬉し泣きして? 泣かれたら、あたしの決意って、そこまでありえないと思われていたようで、悲しくなるから」
笑いながら、朱羽の涙を指で拭う。
「あたしの愛情を、見損なわないでよ。……それとねぇ、謝らせてくれる?」
「謝る?」
朱羽の茶色い瞳が訝しげに揺れた。
「ん。……このマンションで、あたしは朱羽を好きじゃないと断言してしまった。他にも色々傷つけることを言ってしまったと思う。それを謝りたい。朱羽の事情も知らず、ごめんなさい」
下げた頭は、すぐに朱羽の手で上に上げられる。
朱羽の翳っていた顔が、陽光に照らされた。
「よせって。俺は俺の意志で、忍月を利用することを選んだ。それはあなたのせいではない。俺が勝手にあなたを追いかけてきただけで、焦ってしまっていたから、あなたが謝ることは……」
星の王子様は、太陽の王子様に変わる。
「ありがとう、好きになってくれて」
「……っ」
「ありがとう、シークレットムーンに来てくれて」
「陽、菜……っ」
「再会した時、九年前のことを引き摺ってあたしは逃げていた。悪いことをしてしまった罪悪感に。……だけどね、それでも惹かれていた。九年前の快楽が蘇生したのかと思ったけど、過去を忘れるくらい、今のあなたを好きになった。満月のこともあって、素直になれなくてごめんね。ここまでしてくれたのに、簡単に酷いことを言ってしまってごめんね」
朱羽の匂いが強くなり、朱羽の熱に閉じ込められた。
抱きしめられたのだ。