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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
 

 顔を上げた結城は、頬をパンと手で叩いて、朗らかな声を出した。


「……鹿沼、家まで送る。お前どうせ腰たたねぇだろ」


 仰るとおり、今立ってみようとしてますが、ふらふらでございます。


「タクシーでいくからいいよ」

「お前のマンション、三階まではエレベーターないんだろう? 三階に住んでいる可哀想なお前を、ちゃんと運んでやるから」

 そうです、家賃の安いところを選んだので、三階までは足腰の運動しているんですが、今はつらいです。

「それとさ、セキュリティあるところに引っ越せよ。あんなの不審者堂々と入れるぞ?」

「でも安いし……」

「ただ同然の物件知ってるけど」

「ええええ、どこ!?」


「俺んち。どう?」


 にやりと結城が笑った。


「通いでもばれたら吊し上げられるのに、同居がばれたらどうなるのよ!?」


 すると結城がちょっと考え込む素振りを見せてから、ベッドから降り立った。


「要は、バレなきゃいいんだ? 家も服も……すべて」


 そんな声が聞こえる。

 着替え中の結城が、顔だけこちらに向いた。


「長期戦覚悟なんで、本気で行くわ。俺、諦め悪いから。よろしく」

「やだってば、あたし同居しないからね!?」


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「お前、本当にババアだな」

「うるさいわ、あんたみたいにジムが趣味じゃないし」


 あたしをおぶった結城が、笑いながらマンションの階段を上がる。

 結局あたしは階段を途中であがることができず、結城におぶられたのだ。なんでこいつは、こんなに元気なんだ。 
 
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