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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「それで、具体的にどう協力してくれるって?」
専務があたし達を見渡したが、あたし達は困った顔を見合わせた。
「は? まさか打ち合わせなしとか……」
「そのまさかです」
朱羽が頷くと、専務は絶句したようで。
「ああっと、渉さん。言われる前に言っておきますが、具体的に彼女と我々がどうすればいいというような話をしようとしたら、彼女が笑いながら帰れと、自分を信じて待てと、そう言われたんです」
朱羽の続きを衣里が続けた。
「連絡を取り合うための電話番号などは、向こうが拒否したんです」
「なんでだ!?」
「すぐ会うことになるからと」
「それは株式総会のことか?」
結城が答えた。
「聞いたら、"秘密"と言われました」
「それですごすご帰ってきたのか!?」
「だって専務、こちらは頼み込んでいる身、根掘り葉掘り聞いたらご機嫌損ねて背中向けられてしまう可能性もあるわけで。そうしたら近い日に会えることを信じて、秘密とやらをスルーしてこないと」
あたしがそう言うと、皆が頷いた。
「お前ら、どうして入り口まで行き着いたのなら、奥まで入って確約してこねぇんだよ。向こうはこっちの窮状知らないんだろ? その"すぐ"が数ヶ月先だったらどうするんだよ!? これで株主総会も来週の朱羽の見合いにもなんの効果もなかったら、ただのネコ探しと、茶を飲んでまったりしてきただけじゃねぇか!」
「専務、お寿司も食べました」
「それはどうでもいいんだよ、カバ! お前がネコと喧嘩しようがどうでも! 朱羽、お前もなんで詰めてこなかったんだ」