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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
「よ~し、香月。それは僕も聞いていいのかな」
「勿論です。アドバイスお願いします」
「OK~。はい、じゃあ今日はそういうことで、タブレットの使い方について、WEBから説明があるから全員参加。頼むな、香月、鹿沼。では解散~」
同時に始業の音楽が鳴り始めた。
――WEBの説明があるから。頼むな、香月、鹿沼。
……待て。
なんだかそのタブレットどうの、決定事項になっているけれど、あたしには全然話が来ていない。
なにをどうしたいのか、課長の思惑すらわからないのに、それをあたしも任されちゃうの!?
――……ひとが、信じられなくなりました。
まさか、だから相談なしとか!?
「鹿沼主任、準備を手伝って頂きたいんですが」
課長の声に説明があるものだと飛んで行くと、二階の会議室に連れられた。そこには大きな段ボール箱が机の上にどんと置かれ、長い電源タップが三つほど用意されている。
「あの、これは……」
「タブレットが届きました。箱から出して充電しながら、このアドレスでアプリをダウンロードしておいて下さい」
「はあ……」
手渡された紙には、うちの会社がとっている「secret-moon.co.jp」ドメインのアドレスが書かれてある。
これが一体なんなのか。
説明を期待して顔を向けると、
「では」
課長が帰ろうとしたから、思わず手を掴んだら包帯のところだった。
ぎろりと睨まれ、慌てて手を離して言う。
「ちょっと待って下さい! これで終わりですか!? 準備のお手伝いは!?」
「これが準備のお手伝いです。あと一時間なんでお願いします」
鉄仮面はキラリと眼鏡を光らせて踵を返すと、口を開けてぽかんとしているあたしに背を向け、スタスタと歩き出した。