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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 

 木枯らしが寒い中、息もこんなに白くなっているのに、朱羽に触れられた指先から熱が伝染する。

 じんじん疼くのは身体なのか、あたしの心か。

 朱羽から熱が迸るような強い眼差しに、あたしの心も体も、朱羽から注がれる熱情の海に、ゆらゆらと揺蕩(たゆた)う。

 それは恍惚――。


 朱羽の舌が、指と指の間をちろちろと舐めた。

「ん……」

 そんなところすら、感じてしまう。

 朱羽の舌の愛撫に身体がざわめくあたしは、瞼を震撼させながら、その快感のさざ波に耐えた。

 愉快そうに細められたその目に挑発するような光を宿し、頭の角度を変えながら、陶酔するようにあたしの指の間を舌で愛撫する。

 ああ、こんな公道で、作った傷を癒やすなどというわけではないのに、こんなに男の顔で、こんなにぴちゃぴちゃと音をたてないでよ。

 だけど朱羽の欲情した男の顔に、吸い寄せられる。

 恥ずかしいのに嬉しい。

 嬉しいから、もっと触れたい。


 そんな指ではなく、もっとちゃんと……。


 絡み合う視線。

 遠くで聞こえた車のクラクションが合図のように、あたしの指から離れた朱羽の口と舌を、背伸びをしたあたしが捕えた。

 もう我慢出来なかった。

「朱羽……好きっ」

 朱羽のコートをぎゅっと握りしめながら、息も絶え絶えにそう言うと、朱羽があたしを仰け反らせるようにして、深く口づけてくる。

 あたしの後頭部に回された彼の手。

 荒々しい息の中で僅かに聞こえる彼の喘ぎ。

 唇の角度を変えて、あたしの口腔内で激しく絡めてくる彼の舌。

 
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