この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
通行人があたし達を見ていた。
揶揄するような声がどこからか聞こえた。
口を外そうとすると、朱羽の手があたしの耳を塞ぎながら、なお一層情熱的なキスをしてくる。
幾らキスをしても足りない。
朱羽の濃厚な匂いにもっと浸りたい。
まるでネコになった気分だ。
オスとはいえ、あのネコも朱羽に恋をしたのだろうか。
朱羽が帰る時、みゃーみゃーと悲しげに鳴いていた。
それが共感したように、あたしの頭に響いている。
離れないで欲しい。
離さないで欲しい。
そんな想いを口にしたら、あのネコのような声で鳴いてしまうのだろう。
ヘッドライトを浴びながら、朱羽はあたしを求め、朱羽はそんなあたしを求める。
まるで長年会っていなかった恋人のように、逢瀬が終わってしまうかのように、性急なキスが止まらない。
やがて朱羽がぎゅっと苦しそうに目を瞑ったと思うと、ちゅぱっとリップ音をたてて唇を離し、あたしをぎゅっと抱きしめた。
「……ホテル行こ?」
「……っ」
「あなたの熱いナカに入りたい。もっと愛し合って溶け合いたい……っ」
それはあたしも思っていたことだ。
朱羽に抱かれたい。
朱羽に愛されたい。
だけど――、今は駄目だ。
ひと握りしかない自制心がそう囁く。
もう何回も抱き合ってきたんだから、辛抱しろ、と。
「陽菜、行こう? 愛し合おう?」
どこか切羽詰まったような朱羽の声に、あたしは掠れた声で答えた。
「……駄目。買い物して帰らなきゃ」
「我慢出来ない」
「我慢して?」
「陽菜っ」
「次にしよう? 今日だってお昼までずっと一緒だったんだよ? 少しでも離れられなくなっちゃう」
「いいよ、離れられなくなってよ。その方が……っ」
「朱羽。聞き分けよう」
「……くそっ。また俺だけかよ、盛ってるの! ああ、こんな状態でお預け? 男は、簡単じゃないんだぞ」
「だけど今までも我慢出来たじゃない。朱羽は我慢出来る!」
「人ごとだと思って。それは片想いの時だろ。あなたと愛し合えるようになってからは、前よりキツいんだぞ?」
「大丈夫! あたし、朱羽は我慢出来ると信じてるから!」