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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

その時、もうそろそろ開会だと声を上げる、朱羽の声が聞こえた。
副社長は舌打ちしながら着席する。
俺が入り口近くを見た時だった。
壁に立つのは、複数の見知らぬ男女。
なにやらメモ帳みたいのを取り出したり、とにかくシークレットムーンの社員でもなければ、株主でもねぇ。
なんであんなのが紛れ込んでいるんだ?
と思ったら、そのうちのひとりが大きなカバンから取り出したのは、なんとテレビカメラ。報道陣が持つようなものだ。
それを見た俺以外の株主もそちらを見てざわつく。
もしかすると副社長の差し金か?
中継を通して、シークレットムーンの悪評を高めて総会で潰す気か!?
俺は慌ててその男のところに行った。
「すみません。会場をお間違えでは?」
するとそのひげだらけの男は、小さな目をパチパチと瞬きをしながら言った。
「え、シークレットムーンの株主総会ですよね、ここ」
俺は警戒に目を細めた。
「あなたは株主ですか?」
「いいえ、非株主ですが」
「許可を受けてますか?」
「許可というか、指示だったんですよね。入れるからと」
「誰の?!」
俺の口調が知らす知らずに荒くなる。
男はびくつきながら言った。
「え?」
俺は思わずしかめっ面をしてしまった。
もう一度聞いた名前は、俺の知っている名前だったんだ。
「面白いものが見れると言われて。その方も、ここにいらっしゃるようですが」
俺は唖然とした。
……なにをする気なんだ?
一般人だと思っていた男女は、もしかして記者なのか?
連絡をしたのか?
俺達が向島にマスコミを使ったのと同じ手で。
だが、なにか思惑があるのは確かだ。
カメラマンの口にした名前を信じるしか、俺にはないのか。

