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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

朱羽と目があった。
怪訝な顔を向ける朱羽は、俺がカメラマンを追い出すと思っていたらしい。俺は片手を上げて、朱羽とカメラマンに背中を向けて着席する。
ジジイの息がかかって、過半数を確保しているかもしれねぇ副社長。
数だけがすべてのこの総会に、もしもあのひとの思惑が本気だったのなら、総会をひっくり返すことができるだろう。
有言実行なのだと、月代さんは言った。
協力すると言ったのだから、俺も信じよう。
マスコミを入れた"彼女"がなにを企んでいても、必ず助けてくれると。
……そう、カメラマンは「ナトリガワフミノ」と二度、確かにそう言ったのだ。
株主総会が始まる。
案の定、シークレットムーンの取り締まり役達が欠席しているということで、議長を決めることになった。
俺の他に手を上げていたのは、副社長の息がかかっていた常務。
俺の方が役が上にあるにも関わらず、過半数をとったのは……常務だった。副社長が立候補をしなかったのは、奴も奴なりの策があるのだろう。
そして副社長の分身とも言える懐刀が、議長席に立った。
俺が議長の権限で庇ってやれなくなっちまった結城は今、壇上の裏でなにを考えているのだろう。
入り口から、朱羽がなにか言いたそうにして俺を見ている。
すまん、朱羽。
副社長に対抗出来るよう、集中させてくれ。
この、なにかを握っているかのような副社長の余裕に、なにか嫌な予感がするんだ。
「それでは、臨時株主総会を始めます。ではまず……」
波乱は必至――。

