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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

「こんなにいるんですぞ!? 口車に乗ってはいけません!! 皆さんを騙そうとする口だけが達者な男が社長になることで、皆さんには不安がないんですか! ひとときの感情だけではなく、もっと現実を……」
「現実を見るのは、あなたの方です」
突然割り込んできたのは、朱羽の声。
後ろを振り向くと、朱羽が開けた扉からたくさんの人達が入って来た。
「なんだ、こいつらは……」
訝しげな表情をしていた副社長が、やがて目を見開いた。
「お久しぶりですね」
そこに居たのは、黒い着物を着た――、
「名取川さん……なぜここに……」
名取川文乃だった。
「なぜ? それは私は結城さんを社長に推したいからよ」
「何だって!? なんであなたが……」
「お話は後。まずはこちらの方々……」
ずらりと並んだ人達は、株主の数をゆうに超えている。
その中には、
あたしに媚薬を飲ませた副社長の父親、小林商事の社長。
やじまホテルの矢島社長もいる。
そしてなんと……。
「この方々は、結城くんを社長にしたシークレットムーンで取引を続けたいと言っている、取引先の方々だ」
そう言ったのは――。
「向島専務……」
もう二度と出会わないと思っていた、杏奈の元恋人の向島宗司がスーツ姿で立っていた。

