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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon
 

「いつ!?」

「昨日」

――俺の切り札は、……が、来てくれたらだけど。

 向島専務のことだったの!?

「そんなことあたし聞いてなかったよ!?」

 向島専務もよく来てくれて、告白したものだ。

 朱羽がなにか言ったのだろうか。

「ごめんね」

 清々しく笑う朱羽に唇を尖らせたあたしの横を、名取川文乃は通り過ぎ、株主も横切り、議長のところに赴いて、マイクを奪い取った。

「私も本日より、シークレットムーンの株主となりました、名取川文乃と申します」

 株主!?

「議長が進行を進めないため、議長は私がやらせて頂きます。反対なさる方はいらっしゃいますか?」

 副社長はマスコミの輪から出られず、逃げるように出口に向けて移動していた。

「では反対がございませんようですので、審議に移させて頂きます。臨時株主総会の議題の件、シークレットムーンの社長に結城睦月、会長に月代雅が就任することにご賛同下さる方は、挙手を願います」

 それは、議長をやった忍月の常務を除いて全員。

 名取川文乃がじろりと元議長を見ると、彼もおどおどしながら手を上げた。


「では、満場一致で、可決いたしました」


 あたし達は、うわあっと歓喜に飛び上がる。

 すっと朱羽が結城の元に向かい、結城が壇上から下に降りてきた。

 笑い合った彼らは、ぱーんと気持ちいい音をたてて、手を叩き合った。

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