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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon
 
 
「あ、あたしですか!? なんですか、それ……プ……ドックって」

「プレーリードッグを知らないのか? 顔に似合わず、とにかくキャンキャンうるさく吠える大型リスみたいな動物だ」

「なっ!」

「お前は俺に勝ったから、負け犬とは呼ばない代わりに、草原の犬(プレーリードッグ)にしてやる。お前はプーでいい。プー」

「変な呼び方やめて下さいよ! あたしには鹿沼陽菜という名前が……」

「ほらすぐキャンキャンする。お前はプーに決定だ」

「嫌ですってば!」


 カワウソ、カバ、プレーリードッグ。

 その共通項がまるで見えてこない。

 ……あたしって何者? 本当に人間かしら。


「……向島……」

 会話を裂いたのは、宮坂専務だった。

「お前、よかったのか?」

 そうだ、あたし達は向島専務に助けて貰ったんだ。

 こんなところで怒っている場合ではない。

 頭を下げようとしたあたしを手で制したのは、その向島専務だった。

「……俺があんなマスコミ如きに負けるか。あの副社長とは違う。これでお前らに貸しだ。覚えておけよ」

 偉そうだ。
 本当に偉そうだ。

 むかむかむか……。

 あたしの心を代弁したのは、

「なにが貸しですか。私達が今まで貸していたものを返して貰っただけじゃないですか」

 ……朱羽だった。

「あなたには、ちゃんとやらないといけないことがあるんでしょう?」

 朱羽の言葉に専務は舌打ちをした。
 
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