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いじっぱりなシークレットムーン
第4章 Secret Crush Moon
「このメールの差出人は?」
「それが……」
千絵ちゃんは言いにくそうにしながら、指を指した。
syu-kozuki@secret-moon.co.jp
「なんですって!?」
即ちそれは、香月朱羽ではないか!
メール送信時刻が、午前八時。
「ヘッダは? どこのプロバイダ経由で送られたの?」
メールにはヘッダという情報が付いている。
千絵ちゃんはなにやら操作して、出した英語の詳細画面、「X-Originating-IP:」の部分を見る。
「うちの会社だ……」
午前八時。課長は会社に居る時間じゃないか。
「だけどまさか課長が……。大体自分の写真もあって……」
心の中に、今朝の課長の言葉が蘇る。
――皆を欺いて抜け出す必要があったのですか? こんなこと知られたら、あなた達の信用は下がるだけ。私に口止めしなくていいんですか?
――それとも、私という存在は脅威にならないと?
――それで利があるならば。
まさか課長が?
そんな……、だって朝会議かばってくれたのに?
あの手の怪我はなに?
なにかしてたの?
――……ひとが信じられなくなりました。
もやもやする。
このこと結城は知っているのだろうか。
課長にもこのメールが来ているのだろうか。