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いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon

「なんだろうね。杏奈も不思議なんだよね。結城ちゃんなら、突然の真下ちゃんの申し出にしつこく食いつきそうな気がするのに、杏奈達が聞いた時には既に、結城ちゃんも専務も許可を出していたし」
「朱羽は専務からなにか聞いてないの?」
「……出かける前に渉さんに言われたんだ」
「え?」
「"見合い潰しを効果的にするために休んでいるだけだ"と」
「なにそれ」
「俺もよくわからなかったけれど、真下さんはただ闇雲に休んでいるわけじゃない。やはり明日のためだ」
朱羽は罪悪感に満ちた顔をしている。
「真下ちゃんが休んだから、なんだっていうんだろうね?」
「わからないけれど、渉さん……笑っていたから、渉さんは彼女がなにをしようとしているのか、きっとわかっている」
「で、朱羽やあたしに教えてくれないわけ?」
朱羽は困った顔で頷いた。
「言わないのはなにか、意味があるんだと思う」
いつも、皆があたしに言わないでいるということは、あたしが大根だから計画をばらしてしまう恐れがあるからだ。
それでも、なぜ結城と専務だけしか、衣里はその理由を告げなかったんだろう。
あまりひとに知られたくない、とか?
本人がいないから、すべては推測でしかない。
「まあ衣里が無事なのならいいけれど、なんでスマホ電源切っているんだろう。あたしはそれが心配で」
「元気に帰ってくることを祈ろう」
朱羽の声に、木島くんと杏奈は頷いた。
いつ戻る予定なの?
衣里が昨夜から、朱羽奪還作戦のためにいなくなったのだとしたら、今どこにいるのだろう。
朱羽の見合いは、明日なのに――。

