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*。:゚+ 小鳥遊 医局長の結婚生活+゚*。:゚
第12章 パワー・ゲーム
――― 再診。

時任は、相変わらず人懐っこい笑顔を浮かべていた。

「ええ。妻のところに2週間行ってきまして、何とか復縁をして貰えました。」

「ほう。それは良かったですね。」

時任は小鳥遊に向かってにっこりと笑った。

「妻のところに行く前には、もうひとりの夫の実家へ度々行って子供達とも半年ぶりに会うことが出来ました。」

時任は話を聞きながら時々メモを取っていた。

「子供さんや奥さん、それにもうひとりの旦那さんにあってどのように感じましたか?」

「とても満ち足りた気分でした。それに色々な事を話し合うことが出来たので良かったと思っています。」

小鳥遊は、手紙を書くこと治療を継続することなど冬と約束をしたことを話した。

「どのような時に衝動やストレスを感じるのか…など、行動を振り返ることで、自分を知る事ができますし、手紙だと考えながらかけますし、良いですね。」

小鳥遊は1カ月に1度の診察と2週に一度の行動療法などのセラピーに通った。

「あなたの子供の頃の思い出についてお聞きしたいんですが…。」

何度目かの診察で時任が静かに小鳥遊に聞いた。

「僕が8歳の時に両親が相次いで亡くなりました。それ以降僕は施設で育ちました。」

「ええ。それは伺いました。ご両親との楽しかった思い出はありますか?」

小鳥遊は暫く考え、重い口をやっと開いた。

「ありません…。覚えていないんです。」

時任は書いていたメモから顔をあげた。

「何も?8歳というと、覚えていても良い様に思いますが?家族で遊園地へ行ったり、おもちゃを買って貰ったとか…。」

小鳥遊は時任を見ていたが、その目はもっと遠くをみているようだった。

「思い出せないんです。何も。」


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