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壊してほしい
第2章 願望
ーーーーー夜遅く、
カフェ【ひいらぎ】の看板を裏返す。

氷月は白い息を吐きながら、ぼんやりと一戸建ての自宅を眺めた。

(ず~~~っと一人だったからなぁ……)


朝早く起きて仕込みをする。
開店し、山田青果の奥さんがきたら少し話す。
ランチタイムのお客は食べたら直ぐ勘定をするし、
その後もケーキを焼いたりコーヒー豆をドリップ機に投入したりとバタバタしている。


寂しいだとか、苦しいだとか……

思う間もないまま毎日をこなしてきた。





カタンと裏返した看板は、
祖父が(台風かなんかで飛んで来たやつだ)落ちていた木の板を荒く削り、
ペンキで【OPEN】【CLOSE】と書いたものだった。
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