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無意味なPKを持つJKの話
第12章 春が来る





しわくちゃになったブラウスのボタンを止める。

今日帰ったら、スカートにもアイロンかけないと。

泣き出しそうなのを、違うことを考えて誤魔化してる。


さっきから嫌な沈黙が2人の間に流れていて、居心地が悪いったらない。

おもむろに小川が立ち上がって、ビクッとしたが、すっかり暗くなった部屋の電気を付けただけだった。

一気に部屋が明るくなって、目の前がチカチカする。


「...お前さ。アレ、辞めろよな」

「え?何?」

珍しく弱い声で小川がぼそりと呟いて、イマイチ聞き取れなかった。

「ヤってる時に、チカラ使うやつ」

「あ、ああ。アレね。ごめんごめん。つい使っちゃったってゆーかさ」

本当はワザとだけど。

「萎えるから」

「え!そうだった?」

そんな風ではなかった、ような。

「他のヤツは、きっとさ」


ああ。そうか。これからのことを、気にしてくれてるワケだ。

もう開いてしまってる心の穴に、カラッカラの風が吹き通る。

分かっていても、やっぱりキツい。

「もう使わない。誰にもチカラのこと、バレないようにするし」

「そうか。勿体ない気もするけどな。その方がいいな」

5センチ上に物を浮かべるだけのチカラ。
何の役にも立たない、本当に何故あるのか分からない。

だけど、このチカラのお陰で、小川と知り会うことが出来たのだ。
言葉にしないけど、今はしみじみ思う。

「でも物が浮かぶだけのこんなチカラなんかさー。しかも、たった5センチとか、意味分かんないよねー」

帰り支度をさくさく済ませて、部屋を出ようとする。

目が合ったら、涙が出ちゃう気がした。
小川はこちらを見てはないと雰囲気で分かってはいるけど。

部屋のドアノブに手を掛けて、ぐっと内側に開けた。

ぎいっと大きな音がして、同時に小川の声がした。

「...少なくとも。俺は、救われた。5センチに」


堪えていたのに、目の中にぶわっと涙が溜まる。

「...そ」

何故、急に小川がそんな事を言ったのか。
その意味もよく分からない。

だけど、嬉しくて。

声に出して泣いてしまいそうで。
階段を駆け下りて、小川の家を飛び出した。

自転車を漕ぎながら、涙がずっと止まらなかった。


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