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無意味なPKを持つJKの話
第3章 カンがピンと
「横に倒したらね」
「は?」
「なんでか、縦長なモノはダメなの。横にしたら大丈夫なんだけど」
中学時代の訓練の時に分かったことだ。
どんなに小さなもの。
例えば、消しゴムでも。
縦に置くと浮べられない。
横に置くと浮かぶ。
「へー」
小川が話を聞きながら、コーラを飲み干した。
「はい。じゃ、これ」
今度は横向きに缶を置いた。
「浮かべて」
「ここで?」
人通りが少ないとはいえ、橋の上は車が通っているし。
全く人の目が無いとは言いきれない。
「ほんとに?」
「なんだよ。今さら出し惜しみかよ」
そういうワケじゃ。
ここで数センチ浮かべたところで、あの橋からは見えないか。
ベンチの端からじーっとこちらを睨んでる。
「わかったわよ...。じっとしてて」
缶を見つめ、意識を集中する。
ふっと缶が浮んで、小川の驚いた雰囲気を感じると、チカラを開放する。
缶がベンチの上に音を立てて落ち、そのままゆっくりコロコロと転がった。
土の上にまで転がり落ちた缶を、立ち上がった小川が拾い上げる。
「マジで浮かんだ!」
今日は授業中に1回浮かべているので、2回目だ。
久しぶりに1日に2回もチカラを使ったので、どっと疲れた。
疲れきって何も話せない明子と違って、小川が小さくずっと「スゲースゲー」と繰り返している。
「お前スゲーじゃん!」
「あー。はいはい。でもこれだけだから」
数センチ浮かべるだけで、横にも斜めにも動かせないので、何の役にも立ちはしない。
「へーー。ほーーー」
何やら感心したように、手に持つ缶と明子を見比べている。
「何よ」
「いやぁ、俺ってスゲーなと思って」
「はぁ?」
そこは、私の事を褒めるんじゃないの?
そう喉の辺りまで出かかって飲み込む。
「何かカンが働いたんだよな。ピンと来たっつーか」
うんうん。と独り言のように呟いて、ベンチに座り直した。
つまりは、この事に気づいた自分に納得しているのか。
はたまた、そんな自分を褒めてるのか。
「...ね。もう用無いなら、帰っていい?」
なんとか息も整ったし、ミルクティーを飲み切って立ち上がる。
何でチカラを見せてしまったのか。
シラを切り通せばよかったかなと、少し後悔する。
「おう。お疲れ。また明日な」
「は?」
「は?」
「なんでか、縦長なモノはダメなの。横にしたら大丈夫なんだけど」
中学時代の訓練の時に分かったことだ。
どんなに小さなもの。
例えば、消しゴムでも。
縦に置くと浮べられない。
横に置くと浮かぶ。
「へー」
小川が話を聞きながら、コーラを飲み干した。
「はい。じゃ、これ」
今度は横向きに缶を置いた。
「浮かべて」
「ここで?」
人通りが少ないとはいえ、橋の上は車が通っているし。
全く人の目が無いとは言いきれない。
「ほんとに?」
「なんだよ。今さら出し惜しみかよ」
そういうワケじゃ。
ここで数センチ浮かべたところで、あの橋からは見えないか。
ベンチの端からじーっとこちらを睨んでる。
「わかったわよ...。じっとしてて」
缶を見つめ、意識を集中する。
ふっと缶が浮んで、小川の驚いた雰囲気を感じると、チカラを開放する。
缶がベンチの上に音を立てて落ち、そのままゆっくりコロコロと転がった。
土の上にまで転がり落ちた缶を、立ち上がった小川が拾い上げる。
「マジで浮かんだ!」
今日は授業中に1回浮かべているので、2回目だ。
久しぶりに1日に2回もチカラを使ったので、どっと疲れた。
疲れきって何も話せない明子と違って、小川が小さくずっと「スゲースゲー」と繰り返している。
「お前スゲーじゃん!」
「あー。はいはい。でもこれだけだから」
数センチ浮かべるだけで、横にも斜めにも動かせないので、何の役にも立ちはしない。
「へーー。ほーーー」
何やら感心したように、手に持つ缶と明子を見比べている。
「何よ」
「いやぁ、俺ってスゲーなと思って」
「はぁ?」
そこは、私の事を褒めるんじゃないの?
そう喉の辺りまで出かかって飲み込む。
「何かカンが働いたんだよな。ピンと来たっつーか」
うんうん。と独り言のように呟いて、ベンチに座り直した。
つまりは、この事に気づいた自分に納得しているのか。
はたまた、そんな自分を褒めてるのか。
「...ね。もう用無いなら、帰っていい?」
なんとか息も整ったし、ミルクティーを飲み切って立ち上がる。
何でチカラを見せてしまったのか。
シラを切り通せばよかったかなと、少し後悔する。
「おう。お疲れ。また明日な」
「は?」