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無意味なPKを持つJKの話
第4章 特訓
そのまま小川は、その映画の説明を始めて。
楽しそうに話すので、なんだか止めることも出来ず、ぼんやりと聞いた。

つまりは、この状況が、その映画に似ているということだろうか。

映画の主人公のように、壮大なストーリーでも待ってるー。なんて到底思えないけど。


「あ、やべ。腹減ったと思ったら、もうこんな時間か」

ふと時計を見た小川が、立ち上がる。

辺りは随分前から真っ暗で、恐らく9時近い。
いつも8時過ぎには終わるのだから、ちょっと遅くなった。

自転車に荷物を乗せて、スタンドを外す。

「送るよ」

いつも小川は送ってくれようとする。

「いいって」

自転車で反対方向へ行かないといけないし。

小川の家がどの辺りかは知らないけど。

「誰かに見られたらヤだし」

そう冷たく言い放って、流石に言い過ぎたかもと言い直す。

「ほら、誤解されたらさ、説明できないでしょ」

小川と特訓するようになって、実は小川が女子から結構人気があることに気付いた。

ぶっきらぼうで一匹狼的な小川は、少しとっつきにくい存在らしく。
クラスではあまり目立つほうではない。

それでも独特のオーラみたいなのがあるのか、3人組女子が廊下でコソコソ小川の事を、“近寄りがたいけど素敵”的なウワサ話をしていたのを小耳に挟んだのだ。

さっきみたいに映画のハナシでもしたら、その3人なら喜んで聞くだろう。

クラスではあまり話さないようにしてるからか、
小川はココで見るのとは別人のように思える。

そんな2人が自転車で並んで帰ったなんて知れたら、クラス中のウワサになりかねない。


「...そっか。じゃ、気を付けて。また明日」

小川はたいして気にした様でもなく、自転車をこぐスピードを速めて颯爽と去って行った。



その次の日から、雨が続いて。
どうやら梅雨入りしたらしく。

申し合わせたわけではなかったが、2人とも河原には行かなかった。


毎日のように特訓していたのが、ウソのようで。

雨の日でも、いつものベンチに行ってみたりもした。


特訓が中断して初めて、あの2人の時間が楽しかったんだと気付いた。
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