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無意味なPKを持つJKの話
第6章 ユイ
引っ越す前も、彼氏を連れて帰ったことはない。
小川はそんな存在ではないけど、部屋に2人で籠って何かを始めるのは、思いっきり勘違いされそうだ。
でも、もう山を登ったり、自転車で何時間も往復するのは嫌だ。
家族が居ない小川の家が理想的だ。
「だだ、場所はどこなの?」
人通りがよくある所や、同じ高校の人が多く住む地域なら、また誰かに見つかってしまう。
家に出入りしてたら、今度こそ人違いだとは言い逃れできないかもしれない。
そんな心配をすると、小川がまた笑っている。
今度は失笑と苦笑いが半々の、ため息混じりの笑いだ。
「そんな心配かよ」
「だって、大事じゃない?」
小川が説明してくれた場所は、明子の家とほぼ反対側の地域だった。
山のふもとにぽつんとある明子の家ほどではないが、かなりの田舎具合らしい。
それでも、周りにはいくらか家が並び、ちょっとした集落になっているようだ。
しかし、周りは年寄りの世帯だらけで、7時過ぎたら皆家に入って出てこない。
そのほかは、近くにため池があって、この時期はカエルの合唱が響き渡る。
そんなのどかな場所だ。
学校からも自転車で20分ほどと近い。
「ちょうどイイじゃん!」
「まあな」
なんだか不服そうな小川に詰め寄る。
言い出したのは小川なのに。
「何?家に人呼ぶの嫌なわけ?」
「いや...。そんな...、いや、そうなのかな?」
「わたしに聞かれても知らないし!」
ユイに悪いとか思っているんだろうか。
2人で過ごした空間に、明子が入ることに。
なんだかイラッとする。
「心配しなくても、私小川を襲ったりしないよ」
小川の息が一瞬止まって、それから吹き出す。
「あはは。何だそれ」
「私彼氏いるし」
ウソだ。
引っ越す前に別れた。
「小川もいるんでしょ。ユイちゃんだっけ?」
ベンチに並んで座っているし、お互い正面を向いているから、その表情は分からない。
だけど、小川の動きが完全に止まって固まっているのはわかる。
本当は、ユイが亡くなったのも聞いてるけど。
小川の中で、彼女は亡くなっては居ないのだ。
同じことだろう。
「...ああ」
ずいぶん間があってから、小川が返事する。
その重苦しい程の間に、小川の想いが詰まっている気がした。
やっぱり今でも想ってるんだ。
2年近く経った今でも。
小川はそんな存在ではないけど、部屋に2人で籠って何かを始めるのは、思いっきり勘違いされそうだ。
でも、もう山を登ったり、自転車で何時間も往復するのは嫌だ。
家族が居ない小川の家が理想的だ。
「だだ、場所はどこなの?」
人通りがよくある所や、同じ高校の人が多く住む地域なら、また誰かに見つかってしまう。
家に出入りしてたら、今度こそ人違いだとは言い逃れできないかもしれない。
そんな心配をすると、小川がまた笑っている。
今度は失笑と苦笑いが半々の、ため息混じりの笑いだ。
「そんな心配かよ」
「だって、大事じゃない?」
小川が説明してくれた場所は、明子の家とほぼ反対側の地域だった。
山のふもとにぽつんとある明子の家ほどではないが、かなりの田舎具合らしい。
それでも、周りにはいくらか家が並び、ちょっとした集落になっているようだ。
しかし、周りは年寄りの世帯だらけで、7時過ぎたら皆家に入って出てこない。
そのほかは、近くにため池があって、この時期はカエルの合唱が響き渡る。
そんなのどかな場所だ。
学校からも自転車で20分ほどと近い。
「ちょうどイイじゃん!」
「まあな」
なんだか不服そうな小川に詰め寄る。
言い出したのは小川なのに。
「何?家に人呼ぶの嫌なわけ?」
「いや...。そんな...、いや、そうなのかな?」
「わたしに聞かれても知らないし!」
ユイに悪いとか思っているんだろうか。
2人で過ごした空間に、明子が入ることに。
なんだかイラッとする。
「心配しなくても、私小川を襲ったりしないよ」
小川の息が一瞬止まって、それから吹き出す。
「あはは。何だそれ」
「私彼氏いるし」
ウソだ。
引っ越す前に別れた。
「小川もいるんでしょ。ユイちゃんだっけ?」
ベンチに並んで座っているし、お互い正面を向いているから、その表情は分からない。
だけど、小川の動きが完全に止まって固まっているのはわかる。
本当は、ユイが亡くなったのも聞いてるけど。
小川の中で、彼女は亡くなっては居ないのだ。
同じことだろう。
「...ああ」
ずいぶん間があってから、小川が返事する。
その重苦しい程の間に、小川の想いが詰まっている気がした。
やっぱり今でも想ってるんだ。
2年近く経った今でも。