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第8章 カラダとココロのキョリ

声が出そうになって、なんとか下唇を噛んで耐える。

明子が感じているのを知られるのは、あまり良くない気がした。

小川も同じなのか、さっきまで少し起こし気味だった体を倒して仰向けになり、天井を仰ぎ見ている。

手も震えてくる気がして、ここかと思われる場所に思い切って腰を下ろしてゆく。

「っ！！」

昨日一気に入ったとは思えない質量に、体が震えた。

ナカをミシミシと音を立てるかのように押し広げながら進んでゆくのが、手に取るように分かる。

途中幾度となく止まりながら、ゆっくりゆっくりと進んで、最後小川の体に体重をかける。

小川から苦しそうな息遣いが聞こえて、自然と腰を動かす。

次第に大きく前後に動かしてゆくと、耐えるためか、小川が息を止めたのがわかる。

その声がもっと聞きたくて、動きを変え、角度を変えて様子を伺う。

時折、小川が顎を突き出すようにして耐えていて、それが明子の動きを助長させる。

小川から、あえぎ声を引き出したい。

降参させたい。

「気持ち、いい？」

苦しそうな息を繰り返す小川に、自分はなんとも無いフリをして聞く。

声が思ったより震えたけど、それどころじゃなくてきっと気づかないだろう。

「...」

「ね？気持ち、いいの？」

体を少し倒して首筋に息を吹きかけるように聞く。

小さく震える首筋が、ぞくぞくするほど色っぽくて、思わずそこを舐めあげる。

ビクッと動く小川が、明子のナカでまた大きくなった気がした。

明子にも余裕がなくなってくる。

小川のうっすらと割れた腹筋に手をついて伸び上がり、止まりかかった腰をまた動かしてゆく。

「...いい？...ねぇ」

小川はきっと答えない。
自分に聞くかのように、そう呟く。

「...ああ」

顔を背けたまま小川がそう言った気がした。

気持ちいいんだ。

私だけ、じゃない。

そう思うと、そこがきゅううっと締め付けるのが分かる

「はぁっ」

大きく１度息を吐いた小川が、明子の太もも上部を掴んだと思ったら、力をかけてしかも素早く揺さぶり始めた。

「...やぁっ！」

その刺激に明子の体がぐらついて、声が逆に出てしまう。

それでも執拗に動かされ、腰が引けたと同時に体が傾いて右側に手をついて傾いた。

それが逆に小川に自由を与えて、追いかけるように下から突き上げる動作を繰り返す。