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無意味なPKを持つJKの話
第2章 チカラ
無理矢理連れていかれ編入試験を受けた田舎の高校は、田んぼの真ん中にあって。
こんなヘンピなイモっぽいとこ絶対行きたくなくて。
試験用紙を、ほぼ白紙で提出した。

そうしたら、都会に残れるかと思って。

それでも何故か合格した。

境遇的に、試験はカタチだけのものだったらしい。


こうして、私は高3から田舎の高校生になった。


高3の時期に、しかも今どき高校からの転校生は珍しいらしく。
急なことで制服も間に合わなかったからか、すごく存在が浮いていた。

田舎の同級生は、やはりどの子も田舎っぽくダサく思えて。
仲良くなりたくなかった。

そんな転校生は勿論皆から疎まれ、益々孤立していった。

サボって遊ぼうにも、田舎すぎて何も無い。

一番近い街まで電車で1時間以上かかる。

その街だって、住んでいた都会に比べればかなりの田舎具合で。
たいして面白いと思えるものはなかった。

登校拒否も考えたが、そうすると自宅にいることになる。

嫌でも学校に行くしかなかった。

仕方なく受ける授業は、それまでの高校と勝手が違いすぎて、全く付いていけない。

机に座ってはいるものの、ぼーっと黒板を眺めるだけだ。



だから、つい。

誰も気づくわけはないと思って、久しぶりにチカラを使つてみた。


日本史の教師の菅野は、明らかに、そして不自然なヅラを頭に乗せていた。

横の白髪混じりの地毛とは、まるで色味の違う濃い黒のヅラ。

全校生徒、そして全教師も知っていたが、影で“ヅラ野”と呼ぶ以外誰も突っ込めることが出来ずにいるらしい。

教科書をただ読み進めるような退屈な授業で、誰もヅラ野を見ていない。

だから、ふと思い立って、そのヅラをそっと持ち上げてみる。


久しぶりに使うチカラは、思うようにいかなかったが、わずかに持ち上がった気がした。

しかし、どっと疲れた。

力を抜いて、それから誰にも見られていないか、周りを確認する。

勿論、誰もヅラ野のことなんか見てなかったようだ。


それから、日本史の授業中、1回はズラを持ち上げることにした。

チカラの感覚も少しずつ取り戻して、ハッキリ持ち上がるまでになった時。

クラスメイトの1人に気付かれてしまった。
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