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蜘蛛の巣
第4章 穏やかな日
でもーーー
「そろそろ帰らないとね。明日入学式だから」
「あっ、もうこんな時間か」
二人はお会計を済ませると、外に出て別れの挨拶を交わす
「じゃあね」
手を振って背を向けた華を
「あのさ」
と真里枝が呼び止めた
華ははてな顔で半分振り返る
「なんかあったら言ってくれていいんだからね」
「……!
…ありがとう……」
もう一度手を振り、二人は別れた
"気付かれてたな……"
真里枝は昔から人をよく見ていて、だからこそ付き合い方も上手い
そして彼女のそんな部分が友達として大好きだった
"だけど…言えないよ……"
レイプされたなんて。
それも早霧の後継者に。
そしてその後、彼女の言う"リアル王子"とも寝たなんて。
とても言えなかった
けれど、何も知らない真里枝の存在で今日一日を全て忘れて過ごせたのだと、華の最後のお礼はその意味も含んでいたのだったーーー