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蜘蛛の巣
第5章 告白
「いや、用事っていうか……最寄り駅まで迎えに来てもらうことになってて」
「ふーん……」
真里枝は少し口を尖らせ眉を上げた
「……何その顔」
「別に? なーんかすっかり別世界の住人だなーと思って」
「何言ってんの、違うよ? 歩いて帰るのほんと大変なんだから」
「あ、そ。まぁいいけど」
あまりそうは思っていない様子だ
「鶴見遥のことも全然教えてくれないし」
「だから知らないんだってば!」
半分ウソで、半分ホントのことを言う
知っていることーーー華と彼の関係は思い出したくもなかった
そんな思いからつい強い言い方になってしまう
「ユウくんとなんか関係あるんじゃないの?」
「え?」
「同じ鶴見なんでしょ」
"あ、そっか……"
全然気が付かなかった
「あ、聞いてみる……」
「聞いたら私にも教えてくれる?」
「……もちろん」
これ以上険悪な空気になるのが嫌で華はつい作り笑いを浮かべる
そんなものは彼女に通用しないと、分かっていながら。
「じゃあ、また明日」
そのまま華は逃げるようにその場を後にした
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