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蜘蛛の巣
第5章 告白
「本気だって」
その瞳に見つめられ華は益々顔を赤くする
「辛いなら、助けてあげたいから」
それだけ言うと、まだ外に用事があるからと車を出そうとした
「あ、そうそう。中に入る前にガレージに行ってごらん。いつでも誰かが迎えに行けるわけじゃないから」
壮真はじゃあねとアクセルを踏み込み、華は去ってゆくポルシェを首を傾げて見送る
"ガレージ?"
言われるままにそこへ足を向ける
「あっ、私の自転車!」
今朝方まで家にあったはずの自分の自転車が広いガレージの端に置かれていた
"壮真さんが運んでくれたのかな?"
あの高級車で?
どこかに傷でも付けていないか少し不安になる
だがともかくも、これで最寄り駅まで行く手段が出来た
"帰ってきたらお礼言わなきゃ"
そう思いながら華は一日振りの邸に入っていった
"まだ誰も帰ってないのかな?"
静かな邸内を歩きながら華は自分の部屋へと向かう
荷物を置いて一息ついた時、階下からピアノの音が聞こえてきた
"あ、ユウくん帰ってるんだ……"
しばらくその綺麗な音色に耳をすませる