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蜘蛛の巣
第5章 告白
"サロン…行ったら迷惑かな……"
そう思いながらも音楽に誘われつい足が向いてしまう
部屋の前まで来てきっと集中しているから気付かないだろうとそっと扉を開けた
と同時に、曲が終わって結利の手が止まる
広いサロンにドアの軋む音が響いた
「……!」
結利がびくりと振り向く
「あ、華か。びっくりした」
「ご、ごめん。邪魔しちゃったね」
「いや、全然。ちょうど気分が乗らないところだったんだ」
笑って華を手招きし、近くの椅子に座らせる
「お帰り」
「うん」
歳が同じこともあってすぐに打ち解けた二人だったが、やはりまだ若干の恥ずかしさが残る
何を話して良いか分からずお互い視線を泳がせていた
「今日は早いんだね」
「ああ、昨日入学式で、まだ一日目だから」
そう答えると今度は結利の方から質問をする
「華は? 入学式どうだった?」
「んー、なんかあんまり実感湧かないかな」
「分かる」
「高校の友達と一緒だったし……あ」
あることを思い出して華は声を上げた
「? どうした?」
「あの……私、遥さんと同じ大学なんだけど」
「えっ」
「今日遥さんが挨拶に壇上に上がって……その…鶴見って名乗ったの」