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蜘蛛の巣
第5章 告白

「遥さんはオレの実の兄貴なんだ」
ーーー
"……"
ーーーえ?
"……え?"
「え?」
今、何て?
「といっても、オレが三つの頃にはもう離れて暮らしてたけどな」
「……ごめん、よく分かんない」
衝撃的すぎて頭がついていかない
「えーっと……つまり、遥さんは鶴見家の長男だったんだ。オレは次男。
宗家に跡取りが生まれなかったから、養子に取られたんだよ」
「な、なるほど……?」
駄目だ、本格的に世界が違う
宗家の跡取りになるために養子?
一体いつの時代の話だ
「だから兄って言っても全然知らないんだ。兄さんって呼ぶのも禁止されたし。煉や壮真の方がよほど付き合い長いよ」
そう言う彼の顔立ちは言われてみれば確かに遥に少し似ているような気もする
「寂しくないの?」
「寂しい? いや、小さすぎてほとんど覚えてないから。
でも…うろ覚えだけど、昔の遥さんはあそこまで気性激しくなかったと思うんだけどなぁ……」
本当に、ここの人たちには自分には計り知れないものをたくさん抱えているんだと、思った
それに比べれば自分の悩みなど恐ろしくちっぽけなものに思えてくる

