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蜘蛛の巣
第6章 砕かれた心<オモイ>
「ハナー!」
「たっだいまー!」
もうすぐ完成というとき、綾斗と茅斗が部活から帰ってきた
「お帰りー」
華は鍋から目を離さずに答える
「あっ、今日はカレーだね!」
「ハナのカレー美味しいよね!」
二人は鍋を覗き込みながらいつものように元気に喋る
「ねぇ、なんかお手伝いすることあるー?」
「いや、もう出来るから向こうで大人しく待っててくれると嬉し……」
「じゃあボクたち食器出すね! とりあえずえーと…一、二……」
指を折って人数を数える茅斗を華は慌てて止める
「ほんっといいから! お願いだから手伝わないで!」
二人が手を出すとろくなことにならない
六年ほど前に一緒に食事をした時には全員分の皿を床に落とすという失態をやらかしてくれた
「もう、ボクたち子供じゃないんだよ!」
“いや全然そうには見えないよ……”
しょげられても困る
二人がしぶしぶ食堂に戻ろうとした時、向こう側から扉が開いた