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蜘蛛の巣
第6章 砕かれた心<オモイ>
結利がひょいと顔を覗かせる
「要帰って来たんだけどさ、なんかご飯いらないって」
「えっ、そ、そっか……」
「えー、ハナのカレーおいしーのに!」
「もったいないね、呼びにいこ!」
「あ、おい! あんまり……」
結利が止める間もなく二人は要を追って出て行ってしまった
「え、と。じゃあとりあえず私たちと双子と、煉さんの分出せばいいかな?」
一気に静かになった空間が気まずくて華は努めて明るく確認する
「ああ、うん。何か手伝う?」
「ううん、すぐ出来るから待ってて」
「分かった」
結利は頷いてそのままドアを閉めようとしたが、完全に閉じる前に少し動きを止めた
「要のこと……あんま気にするなよ」
その言葉に華は顔に出ていたかと一瞬焦ったように目を見開いたが、すぐに笑ってみせる
「全然気にしてないよ。大丈夫」
その様子に取り敢えず安心したのか、結利も少し笑って扉を閉めた
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同じ頃、調理室を飛び出した双子は要を追って邸内を走り回っていた
廊下の角を曲がった時、ちょうど自分の部屋に入ろうとする彼の姿を捉える