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蜘蛛の巣
第6章 砕かれた心<オモイ>

「メーちゃん!」
綾斗が遠くから大声で呼び掛けたので、要が二人の方を振り向いた
「ご飯食べないの?」
「……もう食べた」
「駄目だよ、そういう時は連絡しなきゃ。ハナもう作っちゃったんだから」
茅斗の注意にも無反応のまま要は部屋に入ろうとする
「ねぇ、ハナの何が気に入らないの?」
綾斗がいつもと打って変わって真剣な顔で聞いてきた
「もともとあんまり話さないけど、この数日特に変だよね。ハナが原因じゃないの?」
"こいつ……"
ふざけているだけのようで実はよく見ている
要は表情を変えないまま内心では軽く舌打ちしていた
「別にあいつ自身がどうってわけじゃない」
「じゃあ、何?」
茅斗も兄と同じ顔をして要を問い質す
「……あの男の手垢がついた人間と関わりたくないだけだ」
それだけ言うと、要はついに部屋に入っていってしまった

