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蜘蛛の巣
第6章 砕かれた心<オモイ>
「何をどうしろって?」
蛇口に触れた自分の手に大きな手が重なっていた
「……!?」
衝撃過ぎて動くことが出来ない
一瞬の間が空き、華はやっと手を離して自分の体を隠しながら後ろを振り向いた
「ははっ、びっくりした?」
「和樹、さん……?」
そこにいたのは煉の弟、斑目和樹だった
服は着たままで、いつもと同じからかうような意地悪な笑みを浮かべている
「なっ、なっ……部屋…鍵っ……」
必死で言葉を紡ぎだそうとしながら後ずさる華
「あー、この邸って古いからさ、鍵もすごい簡易的なんだよねー」
和樹は悪びれる様子もなくさらりと大変なことを言う
「あ、あのそれで……なんで……」
「なんでって、ご飯食べたいから」
「へっ?」
「人がお腹すかせて帰ってきたのになんの出迎えもないんだもん。普通奥さんは遅くまで旦那の帰り待ってるもんなんでしょ? 優雅にお風呂入ってないでさぁ」
"私あなたの奥さんじゃないし……!"
内心では大声で言い返すものの、実際言葉にする勇気はなく、華は慌てて立ち上がった
「すみません、今すぐ……」