この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
「え、つまんないって……」
そう言われて初めて、食堂が異様に静かなことに気が付いた
「ゆークン、お醤油取って」
「ん」
そんな会話が時々なされるだけ。
"ていうか皆もう食べてるし!"
誰一人、待ってなどいない
"アーヤ、わざわざ嘘ついてくれたんだ……"
嬉しいような、悲しいような。
「あっハナ! やっと来た!」
「お、おはようカーヤ」
この落ち着きを壊さないように小さく席につこうとしたが、茅斗に元気いっぱい話し掛けられる
「ああ、華チャンおはよう」
「お、おはようございます」
「おはよう、華」
「おはよう」
「おはよう、華ちゃん。昨日はよく眠れた?」
「あ…お、陰様で……」
和樹だけがかなり意味深な挨拶をしてくる
華は出来るだけ他の人に不審がられないよう努めた
が、気になる存在はもう一つーーー
「おはよう。今日のご飯も美味しいよ」
「……あ、ありがとう…ございます」
お礼を言いながらも、華は壮真と目が合わせられない
そんな彼女を和樹は面白そうに眺めていた
「……」
要以外の全員と朝の挨拶を終え、八人を再び静寂が包む