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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
華の中で時間は止まったように思えても、現実はそうはいかない
あっという間に登校の時間になってしまった
そして同時刻に食事を取り解散したのだから、そのタイミングが被ったとしてもそれは致し方のないことでーーー
「華ちゃん、さっきから様子がおかしいけど、何かあった?」
鈍感なのか無神経なのか、壮真は華にそんな質問を投げ掛ける
「いえ、別に……」
華はその横で自転車を用意しながら彼を見ようともしない
「今日は帰りも空いてるし、良かったら約束通り送っていくけど?」
「……別にいいです。せっかく自転車持ってきて貰ったんだし」
「でも……」
「それに」
バイクに寄り掛かる壮真に華は怒ったような声で告げた
「そんなとこ彼女さんに見られたら都合悪いんじゃないですか?」
「え?」
「じゃ」
それ以上何かを言われる前にと、華は自転車に乗って先にガレージを出発した
「う~、泣くなっ、白河華!」
自転車の上で華は目を瞬かせる
まだ好きだと確定させなかったのが不幸中の幸いか
酷い男に捕まった
"初めてだったのに、な……"
初めて、男性を好きになったかもしれないと、そう思っていたのにーーー。