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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
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その日から、華は極力壮真を避けるようにしていた
時々様子を見るようにしているから、何か話したがっているのは分かる
だが華は全く話す気にはなれなかった
三日ほど経った、ある日ーーー
休日の廊下を歩く華の耳に、ある会話が聞こえてきた
「……う、要」
"壮真さんの声だ!"
角を曲がった要の部屋の前にいるらしい
ここを通らなければ部屋には戻れない
華は仕方なくしばらくそこで様子を窺うことにした
「本、好きだろう?」
「わざわざこんなことして頂かなくて結構だ。いらないと何年言ったら分かる。しつこいぞ」
「……やっぱり駄目か」
壮真は哀しげに手に持っていたものを下に下ろした
「お前があいつと付き合うのをやめたら考えなくもないがな」
「それは…出来ないよ……」
その言葉に華は何故か心が締め付けられる気がした
しかし要はただ冷たく鼻で笑うだけ。
そして少し苛立ったように大きめの音を立ててドアを閉めた
壮真は小さくため息を吐くと、廊下を華のいる方とは反対に、自分の部屋へと帰っていった