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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
「え、試合?」
今初めて聞く華には茅斗の言い方はだいぶ飛躍していた
「だーかーら、明日他の学校と交流試合があるの!」
「あ、なるほど」
三回目にしてようやく双子の言いたいことを理解する
「でもどうしよっかなー……学校の課題もあるし」
「ちなみにこの屋敷にいると遥さんと二人っきりってことになるけど」
部屋の奥から声がかかり華は飛び上がった
「煉さん!? いつからそこに!?」
「いや、キミが来た時にはもう既にいたんだけどね」
本を片手に少しはだけた和服姿で煉が姿を現す
「いるならいるって言ってください!」
「ごめんね~、なんか勉強してるみたいだったから声掛けずらくって」
笑いながら華の隣に腰掛ける
「で、それ僕も行く予定なんだけど、ついでにデートしない?」
「ふざけんなこの色魔」
「……ったー! アーヤ、そうやってすぐ人を殴るの良くないよ?」
煉は男子高校生の本気の拳に涙目になりながら訴えた
「レンおじさんこそそのすぐ女の子に触る癖やめたら?」
綾斗はすげなく言い返す
その冷たい目は華の肩に回された腕に注がれていた