この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第1章 出逢い

「ハナ!? もしかしてハナなの!?」
「えっ、ハナ!? どこどこ!?」
玄関に足を踏み入れる直前、急に上から明るい声が降ってきた
「えっ!?」
華は驚いて立ち止まり、声のした方を仰ぎ見る
するとそこには同じ顔が二つーーー
「アーヤ!? カーヤ!?」
大きな松の木の枝に双子の兄弟が腰掛けていた
「綾斗様! 茅斗様! この木には登らないようにと何度も……」
「はぁい、ごめんなさい」
「だって今日来るっていう女の子の顔が早く見たかったんだもん」
口々に言いながらひょいひょいと枝を伝う
最後に華の前にピョンと飛び下りた
「でもまさかハナだったなんてね!」
「アーヤ、カーヤ……そっか、そうだよね」
白河綾斗、茅斗兄弟
二人は華の従兄弟で、父の兄の子供
つまり白河家の直系、跡取りだ
"なんですぐ気づかなかったんだろ"
すっかり失念していた
「でも何で二人とも?」
「それはおいおい説明していくとしてー」
「ハナ、全然変わらないね!」
ここにきて初めての明るい出迎え
華はほっと胸を撫で下ろし、固くなっていた体から力が抜けてゆくのを感じた

