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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
煉は対照的にコート内ではなく周囲にばかり視線を送っている
「……煉さん、まさかとは思いますが、ここに来た本当の目的は……」
「えー? もちろん二人を応援するためですよー? ははは……」
思いっきり視線を逸らして笑ってみせる
華はもう呆れてため息も出なかった
何より残念なのはーーー
「あの和服の人かっこいー!」
「双子ペアの親戚かな? あんなにカッコいいんだからきっとそうだよね!」
「なんか、大人の魅力っていうの? キャー!」
なんていう会話が時々耳に入ってくるからだ
"あの人たちが煉さんのキャラ知ったらどうなるか……"
苦笑いものである
とはいえ、そんな囁きも試合開始と共に聞かれなくなる
コートでは序盤から白熱した闘いが繰り広げられていた
三セットマッチの本格的な試合だ
一セットは六ゲーム先取した方が勝ち
綾斗•茅斗ペアはいつものように黙々と強さを発揮していたが、相手ペアも十分に強い
第一セットから接戦のタイブレークで6-7と落としてしまった