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蜘蛛の巣
第8章 光と影
「大丈夫大丈夫。どうせ明日になったらコロッと忘れるって。いつも次の日にはまたうるさくなるから」
一週間くらい静かにしててくれたらありがたいんだけどな、と半分冗談の文句を言いながら結利は笑った
「あ、そういえば煉は?」
今思い出した、というような態度に少し煉が不憫な感じになる
「帰った早々橘さんに声掛けられてたけど?」
「えっ、なんだそうなのか。じゃあ壮真は……」
結利が言い掛けたとき、横に置いていた彼のスマホがメッセージが入ったことを告げた
「噂をすれば、だな。壮真もうすぐ帰ってくるってさ」
華と、そして給仕係に内容を伝える
「そ、そっか」
“もうすぐってどのくらいだろう”
まだ半分以上残る夕飯を前にして焦る華
無意識のうちに、彼女の箸を進める手は早くなっていた
「……なぁ」
その様子を見ていた結利がしばらくして華に質問した
「お前、壮真と何かあったの?」
「え?」
「なんか最近変だからさ。壮真のこと避けてるように見えるし」
双子にも様子がおかしいと言われた
そんなに自分は分かりやすいだろうか