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蜘蛛の巣
第8章 光と影

「別に何もない、けど……」
絶対何かあると思わせるようなぎこちない返事をする華
「ふーん……ならいいけど」
だが結利はそれ以上何も言わなかった
その代わり、
「なぁ、そのコロッケもらっていい?」
と華の膳を指差して尋ねる
「え、いいけど」
「あとそれとそれとそれも。どうせお前こんなに食べれないだろ」
ひょいひょいと華の前からおかずを取り上げてゆく
最終的に華の前にはものの一分で食べられそうな量しか残されていなかった
「ちょっ、ユウくん!?」
「食べ終わったらさ、また練習付き合ってよ。今日はリクエスト応えるからさ」
気を使わせてしまったんだろうか
「アーヤとカーヤの代わりに、オレが華を元気づけてやるよ」
それが少し申し訳なくて、けれど嬉しくて、華は思わず下を向いて笑みを零していた−−−
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「珍しいですね、僕をご指名なんて。何かあったんですか?」
「別に。ただ昼過ぎに起きたら誰もいなくなっていて退屈しただけだ。あの女に付き合ってお前まで外に行ったっていうしな」
わざと薄暗くした部屋の広いソファに足を乗せ仰向けになりながら彼は煉に座るよう合図した

