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蜘蛛の巣
第8章 光と影

「お気に入りの彼はどうしました?」
「別に気に入ってるわけじゃない。ただ向こうが勝手に傍にいるだけだ」
煉の少しふざけた口調にも彼は本気で怒って睨み付ける
「そのくせ今日は部活があるとか言って来なかった。呑気で良いな、分家のご子息様は」
「そりゃまぁ、遥サンに比べれば」
相変わらず笑ったまま煉は遥に言葉を返していた
その笑みの意図は全く読み取れない
「……本当にイケすかない奴だなお前。腹立つ」
「それはすみません」
遥の怒りにも臆する様子を見せなかった
「まぁいい。今日はあの女のことが聞きたくて呼んだんだ」
「華チャンのことですか? ああいう純粋そうな子がタイプなんて、意外ですね」
「馬鹿を言うな。俺がいつそんなことを言った。
お前たちがやたらとアイツを気にかけているようだからどんな女かと思っただけだ。そんなに良いとは思えなかったがな」
「……遥サン」
煉は笑いながらも少しため息をついた
「女性は抱いただけでは分かりませんよ。まぁ別に、あの子が特別だとか言う気はありませんが。
それに、アーヤたちは別にしても皆いつもと変わりないと思いますけどね」

