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蜘蛛の巣
第8章 光と影
「へぇ、そうか?」
遥は立ち上がると、座る煉の着物の襟を上から掴んでぐいと引き寄せた
「そのわりにはお前も、あの馬鹿兄弟に話合わせてあの女を連れ出したり、結構目付けてるよな。
もしかしてやっと諦めて家を継ぐ気になったか?」
「ハハッ、まさか」
煉は僅かに体を持ち上げられて苦しそうにしながらも遥の言うことを否定する
「賭けは今もちゃんと続いていますよ。僕が女の子に優しいのはいつものことです」
「……」
遥は冷たい瞳で煉をじっと見た
その表情からはやはり彼の真意は読み取れない
こういう態度を取られるとかえって殴る気も失せるのだった
「……ふん」
遥は軽く鼻を鳴らすとゆっくりと煉を解放した
煉は何も言わずただ胸元を直し始める
「まぁせいぜい頑張ることだな。お前の弟がそんな思い通りに動くとは思えないが」
「そうなんですよねぇ。この前も早速彼女にちょっかい出したみたいで」
「兄に似て節操がないな」
「やだなぁ、僕は手を出したりはしませんよ」
そして服装を整え終わるとソファから立ち上がった
「さて、僕は少しは退屈しのぎになりましたかね? もう少し付き合って差し上げても構いませんが」
「もう良い。さっさと行け」