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蜘蛛の巣
第9章 悩み
「あれ、言ってなかったっけ? ごめんごめん」
全く謝罪の意が感じられない
相変わらず適当な男だ
「ゴールデンウィークの前半にね、皆で温泉でも行こうかって話になってるの」
「温泉、ですか」
「そう、早霧グループが経営してるとこ。予定空いてる?」
「まぁ空いてますけど……」
親戚で温泉はともかく、その親戚がその温泉を持っているというのは彼女にとってかなり突拍子もない話だった
“ほらね、真里枝。私だって庶民だよ……”
「それでねぇ、申し訳ないんだけど、気まずいのヤだから壮真クンと仲直りしてもらえるとありがたいんだけどなぁ」
「えっ!?」
「華チャン、何だか彼のこと避けてるでしょう」
“……”
ああ、まただーーー
華は自分の単純さが恥ずかしくて顔を赤らめ俯く
「あの…すみません……」
「ああ、いいのいいの。誰だって苦手な人とかはいるでしょう。
無理にとは言わないからね」