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蜘蛛の巣
第9章 悩み
“お泊り会”なんて−−−
いつ以来だろうか
そもそも二人だけのものを“お泊り会”と称するのかどうかも分からないし、かなり子供っぽい言い回しではあるが−−−
『ホント!? お泊り会していいの!?』
久しぶりに聞く真里枝のはしゃいだ声に華も一瞬舞い上がる
が−−−
『それってお屋敷で? それとも華か私のうち?』
「あ……」
“しまった”
そういう細かいことを全く考えていなかった
早く親友を喜ばせたい余りに−−−
「ごめん、ちょっと待って。聞いてみるから」
『え』
相手としては当然確認した上で掛けていると思っていたのだろう
電話越しでも真里枝が一瞬眉をひそめ、呆れ顔でため息をつくのが手に取るように分かった
『……りょーかい。待ってる』
「うん、ごめん……」
一旦電話を切ると、華は自分の短絡さに自分を呪った
すぐに部屋を出て橘を探しに行くが、どうにも嫌な予感しかしない
「あの、橘さん見ませんでしたか」
「さぁ……申し訳ございません」
こんな時に限ってどうして姿がないのか
“いつもいつも、いてほしくない時にばっかり出てきて!”