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蜘蛛の巣
第9章 悩み
お泊まり会の計画は破綻してしまったが、真里枝との距離が少し戻ったようで華の足は少し軽くなった
その足取りのまま屋敷内を散歩でもしようかと歩き出す
しばらく行くと、いつものようにサロンからピアノの音色が聞こえてきた
"あ、ユウくん今日も練習してる"
でも何の曲だろう、と華は首を傾げた
クラシックではないけれど、何となく聞き覚えのある曲ーーー
気になるのはそれだけではなかった
"バイオリンの音……誰が弾いてるんだろ"
華はそっと扉に近付き、隙間を開けて中を覗き込む
「……あっ!」
そこにいた人物に小さく声が漏れてしまった
瞬間、バイオリンの音が止んでその人物が此方を見る
目があってしまったーーー
"ちょっと待って! なんで私逃げてるの!?"
見つかったと思ったら、何故だか足が勝手に走り出していた
"せっかくのチャンスだったのに~!"
そう言いながらも脇目も振らず駆け続ける
お陰でどこかの角を曲がったところで人にぶつかってしまった
「ったた……す、すみません!」
「そそっかしい使用人がいたもんだと思ったら、華ちゃんみーっけ」