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蜘蛛の巣
第9章 悩み
「えっ」
腕を掴まれ、立ち上がるのをサポートしてくれるーーー
までは良かったが、どこをどう間違ったか、華はそのまま彼の腕の中に納められていた
「か、和樹さん!? 何してるんですかこんなとこで!?」
「何って……部屋に戻ろうとしたら君にぶつかられただけなんだけど」
「う……す、すみません」
「橘さんがそろそろ夕飯の準備するからって君のこと捜してたよ」
和樹はそう言いながら華を包む腕にさらに力を籠めた
「じゃ、じゃあ行かないと……えと、放してもらえませんか?」
「んー、やだ」
「は!?」
半分振り返ってその表情を見れば、和樹の顔にはいつもの意地悪な笑みが浮かんでいる
"これは、マズイ"
華は直感的にそう思った
だがどうすることも出来ない
「地味に痛かったんだよねー……廊下を走っちゃダメだって小学校で習わなかった? 今から僕の部屋でじっくり教えてあげようか」
「…っ……」
やっぱりーーー
そう来るか
「あの、ほんとにすみませんでした。だから今回は勘弁して……」
もがけども振り払えない
和樹はその様子を楽しむように笑っているばかりだ