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蜘蛛の巣
第9章 悩み
「いい加減に……」
「嫌がってるんだから、放してあげたら?」
華がキレて怒鳴りかけたところへ、背の高い男性が現れて静かに言った
彼を見た瞬間に華の動きが止まる
和樹は二人を交互に見て何かを察したようだった
「ふーん、なるほどね……華ちゃんの全力疾走の理由ってこの人?」
「……」
答えないのが答えだった
和樹はもう一度二人を見て腕を離す
「じゃ、あとはお二人でごゆっくり」
笑ったままそう言うと角を曲がって見えなくなった
「……大丈夫だった?」
「…はい、ありがとうございました……」
華と壮真の間を気まずい空気が流れる
結局二人きりになってしまったーーー
一体どう切り出すべきか
「華ちゃん」
「は、はい」
優しく名前を呼ばれ、不意討ちにドキッとしてしまう
「ずっと聞こうと思ってたんだ。俺、君に何かしたかなって」
かなりストレートに聞いてくる
どう答えれば良いのか分からず華は言葉に詰まってしまった
「何でも言っていいよ。君のためなら……」
「優しく、しないで下さい……」
華は俯いて小さくそう言った