この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第9章 悩み
「ああ、いたいた! やっと見つけたよ! 急に飛び出して行ったからどうしたのかと……どうした?」
結利が現れた瞬間に華は壮真から離れ、顔を背けていた
「べ、別に、何も」
「何もって……壮真お前、こいつに何かしたのか?」
「やだなぁ、仲直りしただけだよ。ね、華ちゃん?」
振られて二人を見れないままに華は頷く
「ホントかよ……ま、仲直りしたんなら良かったけど。
それより早く練習に戻らないとだぞ、壮真」
「ああ、そうだね。ごめん」
「あの、何の練習ですか?」
ようやく落ち着きを取り戻した華が二人の会話に入ってきた
「えっとね、来週早霧のところに来るお偉いさんに演奏を披露することになって。そのリクエスト曲の練習だよ」
「今年の大河の……なんだっけ」
「あ……あの真田幸村の?」
「そうそう、そのテーマソングって言われてさ、バイオリンが主だから壮真にも頼んだわけ」
お偉いさんの前での演奏
まるでなんてことはないという風だ
「壮真さんはバイオリンもやられるんですね!」
「跡取りの人間は皆楽器やスポーツを一通りやらされるよ」
「なんの意味があるんだかわかんねーけどな」
「さすが……万能ですね」