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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。
「え……じゃあ、私たちが温泉に行っている間に煉さんもどこか行くんですか?」
「うん、ちょっとね……自分探しの旅に」
「ただの取材旅行だろ」
憂いを帯びた目で俯いてみせたところを、結利にズバッと切られる
「じゃあ行けるのは華と双子と和樹と、あと……」
「あの」
確認の途中で壮真がおずおずと手を上げた
−−−かなり申し訳なさそうな顔をしながら。
「この流れですごく言いづらいんだけど……実は俺も行けなくなったんだ」
「ええーっ!」
「それは困るよ!」
双子が先ほどの煉に対してとは全く違う反応を示す
「だってソーマが来なかったらカズが最年長だよ!?」
「カズに保護者が務まると思う!?」
勢いで和樹にだいぶ失礼なことを言っているが、和樹も和樹で
「僕もそんな責任者的なのはめんどくさくてやだなぁ。だいたい僕まだ未成年だし」
などとマイペースなことを言っていた
「あの……」
ここで、華が首を傾げながら口を挟む
「最年長は要さんだと思うんですけど」