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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。
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そんなこんなで、今華たちは早霧の経営する温泉に来ていた
周りを山に囲まれた美しい土地
町の真ん中には大きな川が流れ、川下りも出来る
その川の上流、町の最奥に華たちの泊まる旅館は山を背にして堂々と建っていた
大型連休ということも手伝って、町は非常な賑わいをみせている
しかしさすがは早霧財閥
一般人には到底手の出せない料金で、旅館の中は上流階級の匂いを醸し出す人々だけで静かなものだ
「またこの部屋ぁ? ボクもう飽きたよー」
「ハナ! 見て見て! 後であの滝浴びに行こうね!」
静かな−−−
「……いや、カーヤ、あれ浴びたら死ぬと思うよ」
スイートルームの一室から見られる巨大な滝
この町の観光名所だ
滝裏が洞になっていて行くことが出来るとは聞いたが、見たところそんな苦行を行っている者はいない
「というか、なんで皆さんそんな普通にしてられるんですか……」
綾斗と茅斗はいつも通りの騒がしさで、要は窓際に座って本を読み、和樹は旅館のルームメニューを広げさっそく何か注文している